文化財
清白寺には室町時代から幾多の天災や災害を乗り越え、人々の手によって守り伝えられてきた貴重な文化財があります。当たり前のように建ち続ける建物も何百年という時を超えてきたのです。歴史に想いを馳せながら、境内をゆっくりと散策してみてはいかがでしょうか?
仏殿(国宝)
室町時代の応永22年(1415年)に建立。仏殿は身舎の周囲に裳階(もこし)を付けた形式で、ヒノキの皮を重ね合わせた桧皮葺(ひわだぶき)屋根は二重の外観の正統的な禅宗様仏殿として昭和30年6月22日に国宝に指定されました。禅宗仏殿の古い様式を伝える一例として大変貴重な建物であるこの仏殿は、わが国の仏教建築の主な様式のひとつである禅宗様建築の代表的遺構として知られ、「方三間裳階付仏殿」とよばれる形式の典型例でもあります。桁行・梁間(裳階)は7.24mと、同様の形式をもつものの中で最小規模でありながら、内部に文様彩色と丁寧な漆塗が施されている点は他に例がありません。建立年代は、組物に墨書が発見され、応永22年(1415)と判明しました。天和2年(1682)の寺院火災にも災いをまぬがれた貴重なものとなっています。鎌倉から室町時代は、貴族や武士の信仰を得て、各地に禅宗寺院が盛んに創立されましたが、その後衰退したため、現存する遺構のうち室町中期までさかのぼるものは極めて少なく、禅宗仏教の古い様式を伝える一例として価値の高いもので、創建時の遺構を今に伝えています。仏殿内部の文様彩色と丁寧な漆塗は一見の価値があります。
庫裏(国指定重要文化財)
庫裏とは僧侶の住居兼台所のことをいいます。南を正面とする切妻造、妻入、茅葺で、北面に下屋を設ける。平面は正面側に土間を設け、床上は棟通りで東西に二分し、西側が客室部、東側が居室部になります。規模が大きく整然とした平面構成をもち、内部も瀟洒な座敷や豪放な架構を現した土間廻りなど見るべきところがあり江戸中期における禅宗の庫裏建築の貴重な存在とされ、2005年に国指定重要文化財に指定されました。寺蔵の古文書により元禄2~6年(1689~1693)に再建されたと考えられ、昭和61~63年の解体修理工事により、ほぼ当初の形式に復原されています。規模が桁行17.5m、梁間12.2mと大きい点や、妻(正面の三角形の部分)の意匠が優れている点などに特徴があります。江戸時代中期の禅宗寺院庫裏として発達した平面や構造を有しており、貴重な遺構となっております。
本堂(市指定有形文化財)
仏殿の背後に位置し、元禄6年(1693年)~正徳3年(1713)の間に建立されたと見られています。桁行は18.2m、梁間は11.8m。前後各3室、6室構成のいわゆる方丈型本堂と呼ばれる形式で、室中と両脇の部屋境に、差鴨居を用いて中間の柱を省略し、上部を竹之節欄間とすることで3室が一体化した大きな空間を生んでいる。屋根は入母屋造りで、もとは茅葺であったものを桟瓦葺に変えています。他にも各所に後世の改変を受けているものの主要部の部材がよく残っており、大型で本格的な平面構成と部分的に独特な形式を持っています。県内の方丈型本堂の17世紀末頃の形式を知りうる遺構として貴重なものとなっております。平成14年5月1日に市指定有形文化財に指定されました。